『財界』誌連載コラム 『英語で夢を見る楽しみ』 寄稿者のブログです。往年のベストセラー『英語屋さん―ソニー創業者・井深大に仕えた四年半』と『英語屋さんの虎ノ巻』(集英社新書)はKindle (Amazon)などの電子書籍でお読みいただけますので引き続きご愛読のほどお願い申し上げます。2008年7月から10年余りにわたって実務翻訳で見つけた訳語を「なるほど!訳語発見 ~英語翻訳の現場から」と題してこのブログに載せてまいりましたが、思うところがあり2018年8月に改題しました。
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2018年09月08日 (土) | 編集 |
9月6日未明に北海道胆振地方で発生した強い地震(下注)の影響で発電所が故障し、その影響でまる1日から2日間にわたって北海道全域で停電が続きました。報道ではこのような地域全体にわたる停電のことを「ブラックアウト」と呼んでいましたが、このカタカナ語をその意味で使っているのを私は今回初めて耳にしました。前代未聞の事故だったこともあって、本来は一般には使われない専門用語が報道で表に出てきたのではないかと思います。

英語のblackoutは一般に「停電」(power outage)の意味で使われています。ただし、どちらかと言うと広範囲で起こる停電について使うことが多いようで、それらしく訳すなら「全域停電」「大停電」とすれば一般にも通じやすいでしょう。カタカナ語の「ブラックアウト」は今はまだ専門用語の域を出ていません。

blackoutという英単語は予測不能な停電、計画的な停電のどちらにも使われています 「計画停電」 ⇒既出記事参照)。空襲対策として戦時下に実施される意図的な停電は「灯火管制」と言いますが、この訳語は手元の辞書にも出ています。

このあたりの使い分けはネイティブスピーカーの間でも見解が分かれるようです。興味深い議論がネットに出ていましたのでご参考までにリンクを貼っておきます。

【参考記事】 Power outage / blackout, black-out 〔WordReference.com〕

(注) 後日震源に近い厚真町では震度7と判定され、「平成30年北海道胆振東部地震」と命名された。千歳市や札幌市の一部でも震度6弱を記録したこの地震では大停電のほか土砂崩れや液状化による陥没など大きな被害が発生した。
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2018年09月04日 (火) | 編集 |
グーグルホーム(Google Home)やアマゾンエコー(Amazon Echo, 写真上)などのスマートスピーカー(AIスピーカー、既出記事参照)を起動するときに発する「オッケーグーグル(OK Google)」とか「アレクサ(Alexa)」という言葉を一般(普通)名詞でどう言うのか調べてみたところ、英語ではhotword, wake word, trigger word など、日本語では「ウェイクワード」「起動ワード」「呼び名」「呼びかけ」などとまちまちですが、現時点では日英いずれも「ウェイクワード」(wake word)が優勢です。

Amazon Echoのヘルプサイトを見たところ「ウェイクワード」と呼んでいました(Googleのヘルプサイトには「話しかける」としか書いていない)。日本語の「ホットワード」(HOTワード)はツイッターなどのSNSで最近よく検索される言葉という意味で使うことが多いからでしょうか、ウェイクワードの意味ではあまり使われていないようです。

前述のヘルプサイトを見ると、選択可能なウェイクワードのひとつに「コンピューター」(Computer)があります。私などは往年のSFテレビドラマ 『スタートレック』(放送当時の邦題 『宇宙大作戦』)を思い出します。スマートスピーカーどころかパソコンさえまだ姿形も無かった1960年代に、音声認識機能を搭載したコンピューターにこう呼びかけて起動する場面がありました。当時のSF物の先見性に改めて感嘆します。

最近はLEDディスプレイを搭載したスマートスピーカーも出ています(Echo Spot, 写真下)。昔ながらのパソコンしか持っていない私自身はまだ使っていませんが、使い道を想像するだけで胸躍ります。

(写真はいずれもAmazonのスマートスピーカー。リンク先はAmazon)
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2018年07月30日 (月) | 編集 |
individually tailored は洋服の話なら「特別仕立ての」と言いますが、機械とかソフトウェアのプログラムなら「個別仕様[の]」「特注[の]」くらいが適訳でしょう。いずれも顧客の注文に合わせて作成(調整)することを意味します。「オーダーメイドの」というカタカナ語はどちらにも使えます(英語では tailor-made, custom-made. made-to-order など)。

(例) individually tailored solutions(特注ソリューション、オーダーメイドのソリューション)
    individually tailored program (個別仕様プログラム、特注プログラム)
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2018年06月09日 (土) | 編集 |
家電製品などがうまく動作しないと日常語ではすぐに「壊れた」と言う人がいますが、何らかの原因で一時的に動かないこともあり、日本語ではこれを「動作不良」とか「不具合」、英語では malfunction と言います。ただし私自身も学校を出てメーカーに勤めるまでこの言葉を知りませんでした。

(例) in case of any malfunction (万一不具合があれば、うまく動かない場合は)

国語辞典によっては「不具合」を「欠陥」の言い換え語として使われることが多いと説明しているものがありましたが、実務文書では多くの文脈において「欠陥」 (defect)とは違う意味で使われています。

(例) mechanical defect and malfunction (機械部分の欠陥および不具合)
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2018年05月22日 (火) | 編集 |
火山の噴火のニュースで見かける sulfur dioxide gas は有毒の火山ガス(volcanic gas)によく含まれる二酸化硫黄(SO2)のガスのことですが、ガスの名称としては「亜硫酸ガス」のほうが一般によく使われているようです。Googleで検索すると「二酸化硫黄ガス」よりも「亜硫酸ガス」の検索結果のほうが桁違いに多く表示されます。

化学に疎い私は両者がどのように使い分けられるのか知りませんが、 日常語としてはcarbon dioxide gas は二酸化炭素(CO2)ガスよりも「炭酸ガス」と呼ばれることが多いので、それと似たようなものかもしれません。
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