『財界』誌連載コラム 『英語で夢を見る楽しみ』 寄稿者のブログです。往年のベストセラー『英語屋さん―ソニー創業者・井深大に仕えた四年半』と『英語屋さんの虎ノ巻』(集英社新書)はKindle (Amazon)などの電子書籍でお読みいただけますので引き続きご愛読のほどお願い申し上げます。2008年7月から10年余りにわたって実務翻訳で見つけた訳語を「なるほど!訳語発見 ~英語翻訳の現場から」と題してこのブログに載せてまいりましたが、思うところがあり2018年8月に改題しました。
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2019年02月27日 (水) | 編集 |
皇位(王位)継承順位が最も高い皇子(王子)を指して言う一般的な英語の称号は [the] Crown Prince です。今年予定されている皇位の継承と同時にその地位に就かれる秋篠宮文仁親王殿下は、日本語では「皇太子」ではなく「皇嗣」と称されますが、英文表記は皇太子と同じCrown Prince とすることに決まったそうです。 ⇒参考: 「ご称号とお代替わりの基本用語(日本語・英語)」―宮内庁ホームページ

(例) His Imperial Highness the Crown Prince ([日本の]皇太子殿下、皇嗣殿下)

外国の国王の筆頭継承者はかつては「王太子」と表記している例もよく見られましたが、今日では「皇太子」と呼ぶほうが一般的です。

(例) His Royal Highness the Crown Prince ( [外国の]皇太子殿下、王太子殿下)

ただし英国の皇太子はPrince of Walesと称しています。

(例) His Royal Highness the Prince of Wales ( [英国の]皇太子殿下)
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2019年02月26日 (火) | 編集 |
昨日(2018年2月25日)、近く退位される今上天皇陛下の新たなご称号である上皇陛下の英文表記を His Majesty the Emperor Emeritus とする旨、宮内庁から発表があったとの報道がありました。上皇后陛下 Her Majesty the Empress Emerita と訳されています。⇒参考: 「ご称号とお代替わりの基本用語(日本語・英語)」―宮内庁ホームページ

今日の世界には「退位した皇帝」が他に見当らない上に、諸外国の王室ではこれと同様の称号を使っていないようですが、英文表記としてはこれ以外には考えにくいところでしょう。検索してみたところ、類例に His Holiness Pope Emeritus (名誉教皇聖下、前ローマ法王聖下)があり、これは生前退位した前法王ベネディクト16世の称号として定訳となっているようです。

なお、このように退職した人の肩書に使う emeritus(名誉~)については以前、このブログに書いたことがあります⇒参考: Director Emeritus 【名誉役員/名誉理事】 (拙ブログ既出記事)。 emeritusを使った肩書には professor emeritus (名誉教授)、chairman emeritus (名誉会長)などがあって、これらはたまに見かけます。女性ならそれぞれ professor emerita, chairperson emerita (またはchairwoman emerita)などと表記されています。
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2019年02月21日 (木) | 編集 |
英語のex-President や former President は前大統領(前社長、前会長)、元大統領(元社長、元会長)のどちらの意味にも使われます (既出記事参照 ⇒ex-President = former President 【元(前)大統領/元(前)社長】 )。特に現職(incumbent)のすぐ前の大統領という意味を明確にしたい場合は、immediate past President (前大統領)と英訳できますが、現職者との関係において言及する場合は predecessor (前任者)と言い換えるとすっきりします。

(例)the immediate past President Barack Obama (バラク・オバマ前大統領)
   as compared to his* predecessor, President Obama
   (前任者のオバマ大統領=オバマ前大統領と比較すると)
   *このhisは現職のトランプ大統領を指す
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2018年10月09日 (火) | 編集 |
通販サイトでは商品の販売元や製造元から報酬をもらって実際には買っても使ってもいない商品について好意的なレビューを書き込む輩が出没していると聞きます。この種のレビューを英語ではfake review、日本語では「偽レビュー」(ニセレビュー)、「フェイクレビュー」などと呼ばれています。検索したところ「偽レビュー」のほうが多数表示されますが、トランプ大統領がやたらとfake news (フェイクニュース)と叫んでいるせいもあってか、近頃では「フェイク~」というカタカナ語も通じます。

(例) five-star fake review (偽5つ星レビュー、5つ星評価の偽レビュー)

日本語ではこのほか「やらせレビュー」「サクラレビュー」といった言い方もよく使われています。
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2018年09月22日 (土) | 編集 |
このところ国際問題で話題になっている英国の「合意なきEU離脱」を英語圏のメディアは no-deal Brexit と呼んでいます。 Brexit no deal と倒置した表現も見られます。この場合、deal は「協定」「取り決め」(=agreement)の意味でしょう。つまり、自由市場や国境管理など個々の問題に関して新たな協定を結べないままEUから離脱してしまうということです。

日本語の「合意」は法律的な文脈ではよく「意志の一致」という意味で使われます。この場合は英国がEUから離脱すること自体にEUが同意しないで英国を引き留めようとしているわけではありません。そう考えると「合意なき離脱」という言い方はともすれば誤解を招きそうですが、すでに定着している以上はそれに倣って訳すしかありません。

ネットで検索してみたところ、専門家の間ではNe deal を「ノーディール」、Brexitを「ブレグジット」(当ブログ既出記事「Brexit 【英国のEU離脱[問題]】」参照)とカタカナ語で訳す向きもあって、たとえば「ノーディール離脱」とか「合意なきブレグジット」などとカタカナ語と漢語を混用している例も散見されますが、あまり一般向きではありません(少なくとも私自身は使いません)。
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