『財界』誌連載コラム 『英語で夢を見る楽しみ』 寄稿者のブログです。往年のベストセラー『英語屋さん―ソニー創業者・井深大に仕えた四年半』と『英語屋さんの虎ノ巻』(集英社新書)はKindle (Amazon)などの電子書籍でお読みいただけますので引き続きご愛読のほどお願い申し上げます。2008年7月から10年余りにわたって実務翻訳で見つけた訳語を「なるほど!訳語発見 ~英語翻訳の現場から」と題してこのブログに載せてまいりましたが、思うところがあり2018年8月に改題しました。
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2019年03月07日 (木) | 編集 |
ロシア絡みの英文記事の見出しなどで今もたまに見かける From Russia with Love の出所はスパイ映画007(Double O Seven)シリーズの作品名『ロシアより愛をこめて』(1963年制作、1964年本邦初公開/写真右、画像リンク先はAmazon)だということは私より上の世代ならほとんど誰でも知っていますが、若い方々のために若干補足説明しておきます。

この映画の舞台は当時の国名ではソビエト社会主義共和国連邦、略してソビエト連邦(ソ連、ソ連邦/英語表記 USSR=the Union of Soviet Socialist Republics)であって、私の世代は1991年にソ連が解体するまで、少なくとも政治的な文脈においては彼の国のことをロシアとは言いませんでした(ソ連を構成する一共和国としての「ロシア共和国」は当時も存在していたが、主権国家であるソ連とそれは同義語ではなかった)。ショーン・コネリーが演じる映画の主人公007=ジェームズ・ボンドの敵役はソ連の秘密警察KGBなのに、どうしてロシアと呼んでいるのかな?―と中学生の頃まで疑問に感じていましたが、ずっと後年になって、英語圏ではソ連時代もその通称として Russia を使う向きがあると知りました。

なお原作の小説の訳書名は『007 ロシアから愛をこめて』となっています。映画の国内での初公開当時の邦題は『007 危機一発』(注)でしたが、DVDのタイトルを見ると今日では『ロシアより愛を込めて』に統一されているようです。

(注)「危機一髪」の誤字ではなく映画配給会社が意図的に「一発」にしたとか。

 
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2019年02月27日 (水) | 編集 |
皇位(王位)継承順位が最も高い皇子(王子)を指して言う一般的な英語の称号は [the] Crown Prince です。今年予定されている皇位の継承と同時にその地位に就かれる秋篠宮文仁親王殿下は、日本語では「皇太子」ではなく「皇嗣」と称されますが、英文表記は皇太子と同じCrown Prince とすることに決まったそうです。 ⇒参考: 「ご称号とお代替わりの基本用語(日本語・英語)」―宮内庁ホームページ

(例) His Imperial Highness the Crown Prince ([日本の]皇太子殿下、皇嗣殿下)

外国の国王の筆頭継承者はかつては「王太子」と表記している例もよく見られましたが、今日では「皇太子」と呼ぶほうが一般的です。

(例) His Royal Highness the Crown Prince ( [外国の]皇太子殿下、王太子殿下)

ただし英国の皇太子はPrince of Walesと称しています。

(例) His Royal Highness the Prince of Wales ( [英国の]皇太子殿下)
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2019年02月26日 (火) | 編集 |
昨日(2018年2月25日)、近く退位される今上天皇陛下の新たなご称号である上皇陛下の英文表記を His Majesty the Emperor Emeritus とする旨、宮内庁から発表があったとの報道がありました。上皇后陛下 Her Majesty the Empress Emerita と訳されています。⇒参考: 「ご称号とお代替わりの基本用語(日本語・英語)」―宮内庁ホームページ

今日の世界には「退位した皇帝」が他に見当らない上に、諸外国の王室ではこれと同様の称号を使っていないようですが、英文表記としてはこれ以外には考えにくいところでしょう。検索してみたところ、類例に His Holiness Pope Emeritus (名誉教皇聖下、前ローマ法王聖下)があり、これは生前退位した前法王ベネディクト16世の称号として定訳となっているようです。

なお、このように退職した人の肩書に使う emeritus(名誉~)については以前、このブログに書いたことがあります⇒参考: Director Emeritus 【名誉役員/名誉理事】 (拙ブログ既出記事)。 emeritusを使った肩書には professor emeritus (名誉教授)、chairman emeritus (名誉会長)などがあって、これらはたまに見かけます。女性ならそれぞれ professor emerita, chairperson emerita (またはchairwoman emerita)などと表記されています。
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2019年02月21日 (木) | 編集 |
英語のex-President や former President は前大統領(前社長、前会長)、元大統領(元社長、元会長)のどちらの意味にも使われます (既出記事参照 ⇒ex-President = former President 【元(前)大統領/元(前)社長】 )。特に現職(incumbent)のすぐ前の大統領という意味を明確にしたい場合は、immediate past President (前大統領)と英訳できますが、現職者との関係において言及する場合は predecessor (前任者)と言い換えるとすっきりします。

(例)the immediate past President Barack Obama (バラク・オバマ前大統領)
   as compared to his* predecessor, President Obama
   (前任者のオバマ大統領=オバマ前大統領と比較すると)
   *このhisは現職のトランプ大統領を指す
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2019年02月19日 (火) | 編集 |
You're fired (You are fired)という英語表現はトランプ米大統領〔写真右/画像リンク先はAmazon〕がかつてMCとして出演していたテレビ番組での決め台詞として米国では誰もが知っていますが、彼が大統領になって閣僚や補佐官を次々と解任したことから最近の英文記事でよく見かけるようになり、日本でも広く知れ渡っています。SF映画シリーズ『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(Back to the Future, 写真下)に登場する主人公マーティ・マクフライの敵役ビフ・タネンはその不動産王トランプがモデルだったと言われていますが、その映画(Part 2)にこの台詞が何度も出てくるのも偶然ではなさそうです 〔参考記事:ビフのモデルはトランプ氏、「バック・トゥ・ザ…」脚本家明かす ―AFPBB〕

これは口語表現(話し言葉)ですから、日本語では「おまえはクビだ」が定訳のようになっています。「クビだ」はもともとは「首を切る」(馘首)と言いましたが、解雇するという意味の俗語的な表現としては漢字の「首」よりもこのようにカタカナで「クビ」と表記することが多いようです。

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