東京・新宿区内で実務文書の翻訳に携わるフリーランスの翻訳者が、日々の仕事で発見した英語の専門用語や新語、その日本語訳や意味、用例をメモしています。『財界』誌連載コラム 『英語で夢を見る楽しみ』 (略称:英夢見楽)とその単行本に関するご案内も随時投稿。2016年9月下旬に「~+(プラス)」と改題、装いも新たに新カテゴリー「新宿ネコクラシー」「筆者広報室」「広告只管傍観」を加えました。
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2015年09月19日 (土) | 編集 |
本日(2015年9月19日)未明の安全保障関連法の成立を受けて、一国民として私なりに考えるところをまとめてここに掲載します。ただし、これは現時点における私個人の見解であり、情勢の変化などを受けて変わることがあります。なお、この問題に関してはどなたとも議論するつもりはありませんので、ご質問やご意見は承りません。その旨ご承知おきの上ご一読いただければ幸いです。

軍事面の得失: 軍事面―「安全保障面」と言い換えてもいいが―では明らかにプラスだ。自衛隊と同盟国との共同作戦を可能にするオプション(選択肢)が増えるのだから、軍事的には当然有利に作用する。だが、これによって抑止力が高まるという政権側の説明は誤っている(か、そうでなければ意図的なごまかしだ)。正しくは防衛力(防御力)が高まったと言うべきだ。むやみに通常戦力を展開しても抑止力は高まらない。日本がこれまで戦争の危険を回避できたのは、米国という同盟国の強力な核抑止力が働いていたからだし、今後もそうだろう (拙コラム『英楽通法』連載第36回 「Deterrence 抑止」参照)。自衛隊が海外に展開し、同盟国軍との共同作戦に従事する機会が増えることで、偶発的な軍事衝突が発生する危険はむしろ高まる (同連載第312回 「Naive assumption 甘い想定」参照)。政権側の釈明とは裏腹に、安易な自衛隊派遣が逆に国家の存立危機事態を招いてしまう危惧すらある。

国民の生命財産の保護: 今回の法整備にあたって政権側は邦人の救出を例に掲げていたが、邦人が米艦船に乗っていようといまいと共同作戦はやるわけだから、あの例が都合の良い口実に過ぎなかったことはすでに露見している (前掲 「Naive assumption 甘い想定」参照)。むしろ、国民の一員である自衛隊員の生命が損なわれる危険はこれまでより大きく高まるだろう。現にドイツなどはアフガニスタンに軍を送って多数の死傷者を出している。どう言い繕おうと、「後方支援」の名の下に武器弾薬を提供するのは軍事行動の一種(兵站)であることは世界の常識であり拙著 『英語で夢を見る楽しみ』 p. 170 「婉曲な言い回し」 参照)、それに加担した自衛隊も当然、現地の武装勢力から敵視されるおそれがある。

国際政治上の効果: 沖縄・辺野古への米軍基地移転が暗礁に乗り上げている今日、(その是非はともかく)今回の法整備によって同盟国である米国政府の機嫌を取る効果は大きいし、それはそれでこの国にとって意味があることだとは思う。しかし、軍事力の展開を断るのに使ってきた憲法上の制約という根拠を自ら放棄したのは明らかな失点だ。

平和主義の後退: 今回の法整備によって日本国の国是である平和主義が「死んだ」とまでは言わないにしても、大きく後退したと言わざるを得ない。そもそも「積極的平和主義」なるものはこの国の首相が勝手に唱えたものに過ぎず、世界に通じる理念ではない。今回の法整備は、日本の軍事的支援に期待する同盟国の政府を除いて諸国の感心を買うことはないだろう。

民主主義に反するか: 理念はともかく、(特にこの国において)制度としての民主主義はそもそもこの程度のものであって、今回の法整備がただちに民主主義に反するとは思わない。代議制を取っている以上、選挙で選ばれた政権が国策を決めるのは避けられない。そもそも、民主主義の元祖ともいえる米国などの歴史を見てもわかるように、民主主義国でも戦争をやる。民主主義それ自体には戦争を阻止する効果は期待できない。それを期待するなら、民主主義制度上の手続きである選挙や社会運動を通してしかるべき政権を選択する必要がある。

合憲か違憲か: 違憲論について論じるのを私は好まない。解釈はどうにでもつくものだし、司法に訴えたところで、特に日本国憲法第9条に関する限り、この国の最高裁はつねにその憲法判断を避けてきた (拙コラム『英楽通法』連載第213回 「US base 米軍基地」参照)。この問題に関する限り、司法はまず役に立たない。有権者としての私たちにできることは、憲法解釈を論ずるよりも法律の運用に細心の注意を払い、より賢明な政権を作るように努力していくしかない。
( 以 上 )
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