東京・新宿区内で実務文書の翻訳に携わるフリーランスの翻訳者が、日々の仕事で発見した英語の専門用語や新語、その日本語訳や意味、用例をメモしています。『財界』誌連載コラム 『英語で夢を見る楽しみ』 (略称:英夢見楽)とその単行本に関するご案内も随時投稿。2016年9月下旬に「~+(プラス)」と改題、装いも新たに新カテゴリー「新宿ネコクラシー」「筆者広報室」「広告只管傍観」を加えました。
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2016年12月17日 (土) | 編集 |
ロシアのプーチン大統領は流石にしたたかだ。北方領土の主権の帰趨について、日本側に何の成果も言質も与えずに3000億円もの経済協力を引き出した。プーチン氏がたしなむという柔道に喩えるなら、初心(うぶ)な日本の首相は手も足も出ないまま投げ飛ばされて試合が終わった。

事前に永田町か霞が関あたりから2島返還論のアドバルーンが上がっていただけに、領土問題で具体的な進展を期待していた向きには大きな失望感が広がっているようだ。プーチン大統領は以前、日ソ共同声明に立ち返って2島返還を容認するかのような姿勢を見せたこともあったが、いざ蓋を開けてみたら、信頼の形成が先だと言って領土返還については触れずじまいだった。ロシア側には4島全部を返還するつもりなどもともとあるまい。米国のトランプ次期政権が新ロシア色を鮮明に打ち出している状況でプーチン大統領は強気に出てきた。今後の成り行き次第では、4島全部どころか2島さえも返還されないまま終わりそうだ。

日本側は「特別な制度の下での共同経済開発」でロシアと合意したと言うが、その具体的な内容は不明だ。ロシア側はあくまでロシアの法律の下で行われると言い張っているようだし、おそらく「特別な制度」を巡る交渉はかなり難航するか、下手をしたら頓挫するだろう。私の見るところ、北方領土問題の解決はむしろ遠のいた感がある。日本が4島返還の要求を事実上取り下げない限り、平和条約締結に向けた交渉は進まない。

北方領土問題を客観的に見るなら、戦争で負けて実効支配されて久しい領土の返還を外交交渉だけで成し遂げるのは不可能に近い。領土保全の原則から言えば日本が領土返還要求を取り下げることはできないから、北方領土問題は何をどうしたところで永遠に未解決の課題だと諦めるしかない。

一方、日本周辺では海洋進出を企む隣国の脅威が高まっており、日本としてはそれを牽制する意味でも、安全保障上、経済上の協力を通してロシアと誼を深める必要がある。だから今回のような交渉結果は、パワーバランスの観点から見て仕方が無いところだと私は考える。たぶん誰がこの国の首相の座にあっても交渉結果に大差は無かっただろう。この国の為政者には、領土問題でさも進展があったかのように強弁するのではなく(そういう物言いは賢明な国民の失笑や不信を招くだけだ)、日本および周辺地域の平和と安全を保つにはこの道しかないと率直に説明してほしかった。

北方領土4島の開発に関しては、経済協力と称して妙な箱物ばかり作るよりも、まず元島民に限らず両国民の自由な往来を推進すべきだ。定期航路を開設して島に住むロシア人も好きなときに北海道に遊びに来られるようにすれば、彼らの生活も潤い、経済交流は自ずと盛んになるだろう。EU圏内では人々が検問の無い国境を越えて自由に行き来している。そう考えると、国際的な相互依存関係を基調とする現代社会においては、領土主権がどちらにあるかは、少なくとも一般市民にとっては、隣国との友好や協力を妨げるほどの重大問題ではないのかもしれない。
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