東京・新宿区内で実務文書の翻訳に携わるフリーランスの翻訳者が、日々の仕事で発見した英語の専門用語や新語、その日本語訳や意味、用例をメモしています。『財界』誌連載コラム 『英語で夢を見る楽しみ』 (略称:英夢見楽)とその単行本に関するご案内も随時投稿。2016年9月下旬に「~+(プラス)」と改題、装いも新たに新カテゴリー「新宿ネコクラシー」「筆者広報室」「広告只管傍観」を加えました。
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2016年11月25日 (金) | 編集 |
We observe today not a victory of party but a celebration of freedom.
(我々が今日ここに祝っているのは、政党の勝利ではなくて自由の祝典である)
― Inaugural Address by John F. Kennedy, January 20, 1961

ジョン・F・ケネディ(JFK)の大統領就任演説の冒頭部分です。「~ではなく…である」というnot~but…構文が使われています。パラグラフ全文は次の通り。

We observe today not a victory of party but a celebration of freedom--symbolizing an end as well as a beginning--signifying renewal as well as change. For I have sworn before you and Almighty God the same solemn oath our forbears prescribed nearly a century and three-quarters ago.
(我々が今日ここに祝っているのは、[民主党という]政党の勝利ではなく自由の祝典である。それは終りと共に始まりを象徴し、変化と共に再生を意味するものである。それは、私は175年前に我々の先祖が起草した厳粛な誓いを皆さんの前で立てたところだからだ)

米国民主主義の伝統に則って権力の継承が行われたことを称えるこの部分は大統領就任演説の冒頭部分の典型的な表現です。
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2016年11月24日 (木) | 編集 |
But let us begin.
(それでも始めようではないか)
― Inaugural Address by John F. Kennedy, January 20, 1961

「レッツビギン」(Let's begin).などと聞くと、私のような往年のテレビっ子は昔の青春ドラマで新任の教師が黒板に書く場面をつい思い出します。この台詞もまたジョン・F・ケネディ(JFK)の大統領就任演説に使われています。「前途には様々な課題があって、それを片付けるにはどれほど時間がかかるか分からないが、それでも始めよう」という流れをこの簡潔な表現で力強く締め括りました。

ちなみに、その直前の部分では次のように畳句(refrain)が効果的に使われています。
All this will not be finished in the first one hundred days. Nor will it be finished in the first one thousand days, nor in the life of this Administration, nor even perhaps in our lifetime on this planet. But let us begin.
(これら[の政策]すべてが最初の百日間で完成することはないだろう。最初の一千日間でも、この政権の存続する間でも、もしかしたら我々がこの地上で一生をかけても終わらないかもしれない。だがそれでも始めようではないか)
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2016年11月23日 (水) | 編集 |
Let us never negotiate out of fear. But let us never fear to negotiate.
(恐れから交渉しないようにしよう。だが交渉することを恐れないようにしよう)
― Inaugural Address by John F. Kennedy, January 20, 1961

ジョン・F・ケネディ(JFK)の大統領就任演説で、前掲の Ask not what your country can do for you... とともによく引用される有名な一節です。格調高いと称えられるケネディの演説にはこのような対句(antithesis)が効果的に使われていることがひとつの特徴と言えるでしょう。米ソ冷戦時代の西側(資本主義陣営)の盟主である米国の指導者として東側(共産主義陣営)のソ連の核兵器の脅威に怯むことなく交渉に臨む決意を端的に示しています。
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2016年11月23日 (水) | 編集 |
Ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country.
(国が自分に何をしてくれるかを問うのではなく、自分が国に何ができるかを問いたまえ)
― Inaugural Address by John F. Kennedy, January 20, 1961

第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディ(JFK)の大統領就任演説の一節で、雄弁家として知られる彼の演説の中でも最もよく知られている言葉です。前後を含むパラグラフ全文は次の通りです。

My fellow Americans: Ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country. ― My fellow citizens of the world: ask not what America will do for you, but what together we can do for the freedom of man.
( 米国民諸君、国が自分に何をしてくれるかを問うのではなく、自分が国に何ができるかを問いたまえ。世界中の市民諸君、米国が自分たちに何をしてくれるかを問うのではなく、人類の自由のためにともに何ができるかを問いたまえ)

全文を通して聴くと分かりますが、この件は最後のクライマックスにあって、聴衆から拍手と歓声を浴びています。半世紀以上を経た今も人々の記憶に残っているのはその映像が繰り返し流されているからでしょう。

後段(My fellow citizens of the world~)の節と節の間には接続詞 but が入っているのに、前段にはありません。意図的に落としたのかそれともたまたま読まなかったのかは知りませんが、結果的にはむしろ前段に力強さが感じられます。

Ask not~ は Do not ask~の古い形だそうですが、そのへんは私は不案内なので、興味のある向きは専門家の説明を当たってください。演説に重みを加えるために意図的に用いたのではないかと思います。

JFKを振り返るテレビの歴史番組などで定番のように使われる映像でよく耳にするフレーズですが、政治家ならともかく、私のような市井の人が引用する機会はほとんどありません。政治家が下手に用いると、妙に愛国主義的な印象を与えるのでこれも考えものです(よく知られている言葉だけに、場違いなところで引用するとちょっと浮いた感じがするかもしれません…)。今日の視点で見るとちょっと分かりにくいかもしれませんが、東西両陣営の対立による危機感が米国民の間に強かった1960年代の政治状況を考えると、こういう言い方になったのも無理はないかもしれません。

私個人にとっては大学のサークルのrecitation (暗誦)コンテストで使った思い出深い一節でもあり、そのことは拙著『英語屋さん ―ソニー創業者・井深大に仕えた四年半』(pp. 51-52、集英社新書)でも触れました。このほか、2008年に大統領選挙に臨んだバラク・オバマ氏について書いた拙コラム「英楽通法」(現「英語で夢を見る楽しみ」)でも引いたことがありますので、よろしければご参照ください→ 「英楽通法」 連載第169回 Eloquent(雄弁な)
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